憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 どうしたら良いのか考えながら、お茶を乗せていたトレーをキッチンに片付けに行こうとした時、

 「そう多くはありませんが、受け取って下さい」

 木崎センパイのお父さんが、テーブルの上に何かを置いた。

 小切手だった。

 小切手というものを、初めて見た。

 金額までは見えなかったけれど。

 ただ、小切手を使うくらいだから、小額ではないのだろう事は、馬鹿なワタシでも分かった。

 「お金で解決・・・ですか??」

 お父さんが、嫌悪感を露にした作り笑いをした。 

 ウチのお父さんが馬鹿にされている様にも、逆にウチのお父さんが木崎センパイのお父さんを馬鹿にしている様にも見える。
< 182 / 280 >

この作品をシェア

pagetop