憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 そんなオレらの様子を、微笑ましく思ってくれたのか、呆れたのかは分からないが、『フッ』と小さく笑うと、
 
「じゃあオレは莉玖と釣りをしに行くから、オマエたちは高校生らしく、清ーーーーいデートをするんだぞ!! 清く正しい交際をするんだぞ!! 分かったな!! 木崎くん、莉子の事頼んだよ!! じゃあな」

 早川さんのお父さんは1人、オレらとは別の方向に歩き出した。

 どうせ駅に行くんだから、一緒に行けば良いのに。

 気が利きすぎていて、ウケる。

 ・・・にしても、初デートが思いかけず降って沸いてしまった為、完全なノープラン。

 早川さんをどこへ連れて行けばいいんだろう。

 「・・・どこ行こっか。 行きたいとことかある??」

 何も思いつかないので、早川さんに振る。

 「じゃあ、ウチに来ませんか??」

 早川さんが、シレっとオレを家に呼んだ。

 ・・・何言い出してんの!! 早川さん!! 襲っちゃうよ!? オレ、早川さんのお父さんとの約束、破っちゃうかも。
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