憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 などと、心の中で叫びながら母の作ったお弁当を食していると、

 「見て見て、莉子」

 沙希がワタシの肩を『ツンツン』と押した。

 沙希の視線の先に目を向けると、教室の扉付近におそらく1年生ではないであろう男子が、ウチのクラスを見渡していた。

 「誰。」

 「莉子、知らないの?? 3年の木崎センパイだよ」

 「沙希、なんで知ってんの??」

 「カッコイイからだよ」

 沙希の言うとおり、彼は確かに美少年だ。

 そんな美少年・木崎センパイは、色めき立つウチのクラスの女子の1人に話しかけ始めた。

 その女子が、何故かウチらの方を指差している。

 よって、美少年はウチらの方に近付いて来た。
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