臆病者のシーソーゲーム(仮)








「……き?……椿?」



「ん~?」


美希の柔らかい声で目を覚ます。



どうやら皆のざわめきをBGMにして、机にふて寝してしまったらしい。



顔を起こせば、私を上から見下ろす美希が眉を寄せていた。




「具合悪い?」


腰を下ろして私と目線を合わせた美希は心配そうな顔で見ている。



「んーん。寝不足なだけだから大丈夫だよ」








寝不足……9時間睡眠した奴が言うセリフじゃないけど、

今は……いつも、こういう日はあまり物事を考えないようにしている。



物事を考えすぎると……自分の中にある変な欲が出てこようとするから…



他の人はコレを外に出すのだろうけど、

私は自分を守りたいからコレを出すことはできない。





だから『平気な気持ち』を装って、ズキズキする自分には気づかない振りしてやり過ごす。






 
< 12 / 91 >

この作品をシェア

pagetop