自問自答
自問自答



―――― 久しぶり。元気にしてた? ――――


軽い口調に感じる、そんなメールが送られてきたのは、年が明けて少ししてからのことだった。

どういうつもり?
今更、何?

携帯をガン見したまま問いかけること数十分。

メールを送ってきた相手は、去年の夏に別れた元彼だった。
ギラギラと太陽が照りつける真夏の路上で、ハンカチを握り締めて立つ私へ、神妙な面持ちで今は元彼のタケルが言った。

「別れたいんだ」

え?
何言ってんの?

余りに突然すぎて、言葉の意味をまったく飲み込めなかった。

今日は、いつものデートのはずでしょ?
よく行く街で待ち合わせて、暑さを和らげるためにカフェに入って、映画でも観ようかな、なんていういつものデートのはずでしょ?

別れたいって、それ、何語?

別れの片鱗など欠片も気づかなかった私へ、待ち合わせ場所に現れたタケルからは、なんとも短い別れの言葉が告げられたんだ。
わけもわからず驚いている私へ、隕石でも降ってきたみたいに予期せぬ言葉を浴びせてきたんだ。


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