先輩と後輩の私。
「俺さぁ、ほんとはチョコ嫌いなんだ。どっちかとゆーと、クッキーとかの方がすき」

「へ、へぇー。そうなんですか…」

一瞬、バックの中にあるクッキーが脳裏をよぎった。
だめだ、私はただの後輩なんだから。
でも、でも…


「せ、先輩」

「なに」

バックの中から綺麗にラッピングされたクッキーを取り出した。

「こ、これっ、……貰って下さい」

頭を下げてお願いした。
恥ずかしくて、真っ赤な顔を見られたくないって理由だけど。

「…。」

「ぁ、やっぱいらないですよね、ただ、ストラップのお返しにって思って、
いや、ほんと、そんで、あと日ごろのお礼とかで、っ」

クッキーをバックの中にしまおうとしたら、その手を草先輩に止められた。

「いらないなんて言ってないじゃん。ありがと、ちょーだい?
言ったじゃん。クッキーのが好きだって」

「っ、は、はい。こんなんでよかったら、どうぞ」

「ん、どーも」


「さくら」

「はい?」

「チョコ、いる?」

「ぇ、その袋いっぱいのやつですか…?」

「うん、だって、どーせ、食べないし」

「っ、だ、だめです。そのチョコにどれだけの気持ちがつまってると思ってるんですか、たくさんの子がひとつひとつ、先輩のことを思って作ったチョコなんですよ。
だから、私なんかが貰っちゃだめなんです」

「…分かった。でも、明日俺が鼻血で学校休んだりでもしたら、さくらのせいだからね」
と言って悪戯に笑った先輩に、また改めて恋をしたバレンタインだったのでした。
< 22 / 28 >

この作品をシェア

pagetop