魔法がとけるまで
「海老名!」



その声にハッとして振り向く。名字を呼び捨てにするのは、綾瀬さんしかいない。



「このあと来客があるから、お茶、頼むで」



「はい」



「それと…金曜日の夜、空けとけ!」



「えっ!?」



「メシ、食いに行くからな!」



「はぁ…」



綾瀬さんは、いつもそうだ。人の都合も考えず、勝手に食事の日程を決めてから誘う。『ノー』とは言わせない。



いくら同期やからって!まぁ、私もヒマやから、誘いには乗るけれど…。


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