魔法がとけるまで
その声にハッとした。



「あー、腹へった」



綾瀬さんがメニュー表を広げた。



「お疲れ様です。あの、綾瀬さんだけですか?」


「何?2人は嫌か!?」



「いえ…」



他に誰か来ると思ってたのに。2人っきりなんて珍しい…。



とりあえず、ビールで乾杯。食べ物は適当に綾瀬さんがチョイスした。



同期が顔を合わせると、仕事の話になる。同期…といえども大卒の綾瀬さんは4歳上。茶髪にパーマ、耳にはピアスの穴がある。営業やからさすがに平日はピアスをしていないけれど…。



見た目はいかつく、性格もオレ様っぽい。でも、営業成績は常にトップ。見た目より中身で、お客様から信頼されている。


国立大卒で頭もいいもんなぁ…。つい、マジマジと見てしまった。



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