魔法がとけるまで
寂しさを紛らわせる
翌日、私は、久しぶりに猫カフェに行った。ショコラを飼うまでは、毎週のように通っていたお店だ。



「いらっしゃいませ。お久しぶりですね」



猫カフェのマスター宅の猫に、たくさんの子猫が産まれた。ショコラはそのうちの一匹だった。



「ショコラが昨夜、急にいなくなったんです…寂しくてここに…」



「そうですか…。今日はゆっくり癒されて帰って下さいね」



私は頷くと、さっそく猫たちに近付いた。



「その子は、ショコラの兄弟ですよ」



マスターにそう教えてもらった猫を、抱きかかえた。抱き心地が、ショコラとよく似ていた。



「ショコラ………」



その猫を抱きしめながら呟いた。癒やされるどころか、切なくなった。



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