魔法がとけるまで
今日も、私と入れ替わるようにして、川崎さんが席を立った。



その後ろ姿を気にしつつも、デスクに向かった。


「お疲れ様です」



直行していた綾瀬さんが帰ってきた。私は、すぐに席を立った。



「綾瀬さん、お疲れ様です…」



「ああ、お疲れ」



ぶっきらぼうに応える綾瀬さん。それはいつものことなので、気にしない。



「今日、ランチに行きませんか?」



「わかった」



綾瀬さんは、書類に目を通しながら、私の顔も見ずに応えた。



とりあえず、良かった。デスクに戻ると、川崎さんが戻ってきた。



前髪の隙間から、チラッと様子を伺うと…泣いている…ように見えた。



座間さんと、ケンカでもしたんかな?



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