魔法がとけるまで
魔法は…
「はい…」



恐る恐る、玄関のドアを開けた。



「こんばんは!アレ?髪切ったんですかっ?」



「あっ…はい…」



そうやった…もう今までのように、顔を隠す髪はなかったんやった…。



「短いの、似合います」


ああ、あかん。恥ずかしくて耳まで熱くなる。



「…お届け物って?」



早くドアを閉めたくて、そう言った時…



ミャーミャーミャー



「ショコラっ!?」



私が聞くと、座間さんのリュックから、ショコラが顔を出した。



「ホラ、ご主人の元に帰りや」



座間さんがリュックを私のほうに向けてくれた。すぐにショコラを胸に抱きしめた。



「日曜日に配達してたらトラックの下に猫がいるのを見つけて…。なんやどっかで見たことある猫やと思って…。それで今朝、聞いてみたんです」


「そうやったんですか…ありがとう…ございます…」



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