ツンデレくんを呼んでみた。
目の前にいるのは、この間中出に話した、毎日連絡が来る後輩だった。名前は山崎という。


少し太め……いや、ふくよかな顔に、あたしより幾分大きいであろう身長。でも、太っ……いや、体格がいいから実際より大きく見える。


顔の出来は中の下くらいだろうか。いつもにこやかだから愛嬌でなんとかなってますって感じ(人のことを言えないのは重々承知している)。


あたしは華奢な背中の男を思い浮かべて、思わずため息をつきそうになった。


あたしが165センチを超えていて今まで自分より小さい男を好きになったこともあるから身長はあまり気にしないけど、たぶん山崎より中出の方が背は幾分大きいはずだ(日本人成人男性の平均並みと言っていた)。


ああ、これがあいつだったら、あたしが彼氏がいようが結婚して子供がいようが即OKするのに。


というか、そもそもあたしは華奢な体型、最低でも普通の体型の男でないと生理的に受け付けないというのが本音である(これも人のことを言えないのは重々承知である。部活を引退してから確実に太った)。


「……ていうか、なんであたしなの」


中出にも言ったことを思わず口にしてしまうほど、あたしは思った以上に目の前の彼からのラブレターにダメージを喰らっているらしい。


中出に話した通り、毎日『会いたい』とか『家に行きたい』とかLINEで送られてきて、最初の三日はまだ少し疑いつつ好かれていることにちょっとだけ嬉しかったりもしたけど、三週間同じ文面で口説かれているとそりゃもううんざりしてくる。


内心LINEをブロックしたい気持ちでいっぱいだけど、しつこいのはLINEだけだし、三週間だけだったらまだストーカーではないかなと思って適当にあしらってきたけど、今日とうとう言われてしまった。


偶然大学の構内で会ってしまったのだ。そして、そのまま公開告白。


今は授業中だから外に人はまばらだけど、全然いないわけでもない。


何人かからの視線を感じる。


今すぐこの場から逃げたかった。


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