ツンデレくんを呼んでみた。
次の日から、山崎から連絡が来続けた。


『大丈夫ですか?』
『会いたいです』
『この間は自分が悪かったです。会って話がしたいです』


一日に何通も来た。


あたしはその通知を見る度にぞっとした。頭の血の気が引いて、背筋に悪寒が走る。


同時にあの日のことが蘇って、動悸が激しくなった。


怖い怖い怖い怖い。


画面を開いてメッセージを読めば相手に既読がわかるけど、あたしはその画面すら開けなかった。既読無視ではなく、未読無視である。


当然返事も返さなかった。


山崎はそれがどういうことかわかっているのだろうか。


来ないで。お願いだからほっといて。あたしにその姿を見せないで。


部屋に引きこもった。バイトもほとんど入らなかった。授業にもほとんど行かなかった。


外に出ることが怖くなった。外に一歩出たら山崎がいそうで、怖くて仕方なかった。


冷静に考えれば、何をそんなにと思う。外に出ることを怖いと思う一方で、なんでそんなに怖がっているんだと思う自分もいた。


それでも恐怖心は拭えなかった。


大学に行ったら山崎に会う確率が上がるし、文学部棟に行ったらそれは更に跳ね上がる。なのに、あたしが受ける授業はほぼすべて文学部棟の教室だ。


どうすればいいかわからなかった。ただひたすら布団に包まって一日中怯えることしかできなかった。


中出からは何も連絡はなかった。


忙しいのだろう。そもそも中出は自分から連絡をよこすタイプじゃない。あたしから連絡しても返ってこないこともあるぐらいなのだ。


頼れる人は誰もいない。


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