君が為
私は上座の三人と向かい合う形で、座らされた。
左右には、男の人が二人ずつ。
後ろは壁だから、逃げようにも逃げられない状況で、背中に嫌な汗が流れた。
「眼が覚めたばかりと聞いたが、身体の方はどうだ」
感情も何も込められていない言葉。
たいして気にもしてない癖に……。
「大丈夫です。御迷惑をお掛けしました」
私はそう言って、深く頭を下げた。
何でかは知らないけど、介抱してくれてたみたいだし。
礼儀はきちんとしないと……。
「して、其方……名は何と言う」
煙管の灰を落としながら、真ん中に座る人が言った。
冷徹な眼。何もかも、全てを見通すかのような、そんな眼。
「……無礼とは思いますが、言わせて頂きます。……人の名を聞く時は、先ず其方から名乗るのが筋ではないでしょうか」
私の発言に、部屋の空気が大きく揺れた。
上座の右にいる人が、唖然として腰を上げる。
「ぶ、無礼な……此方の方を、誰だと知っての物言いか!!」
「ですから最初に、無礼だと謝ったではありませんか」
ピシャリと跳ねつけると、男は顔を真っ赤にして私を見る。
重苦しい沈黙が続く中、最初にそれを破ったのは煙管の男だった。
咽喉から押し出すような掠れた笑い声が、耳に付く。
男は一頻り笑うと、面白そうに私を見た。