甘い心はあなた一色
おぉ、なんだ全然鬼じゃないじゃん。
「よかった、やっぱり……」
「残念だったな楠、2分遅刻だ」
「え……」
時計を確認すると、虚しくも登校時間8時を過ぎている。
――あ。
「次、はないぞ」
「……はい、すいません」
――ちぇっ、あたしの負けだ。
先生に謝って机につくと、まわりのみんながクスクスと笑ってる。
……あぁ、みんなごめんなさい。
今日も迷惑かけちゃいまして。
「紗英子、今日も最高ね」
眉を下げて俯いていると、前の席の美知が笑った。