甘い心はあなた一色
「そんなのしらねぇーよ」
「でも……っ」
「そういうの、俺は紗英子だけでいいから」
えっ――。
見上げると、彼方が優しい笑顔であたしを見た。
「多部くんっ、」
「わかったんなら、もう紗英子に近づくな」
「えっ……」
「今度紗英子に何かしてみろ。俺がただじゃおかねぇから」
「ご、ごめんなさい……」
冷たい言葉に、女の子達は表情を崩してその場を走り去っていった。
たださっきの出来事に呆然とするあたし。
彼方はあたしのこと――。