君が降ってきた日
ユキとの日々

「ハルーっ、構ってー」


ユキは、必要以上に鬱陶しかった。
無愛想で人と関わりたくない私と
いつも笑顔で構ってほしいユキ。


当然、波長は合わなかった。


「私、構わないよ。あなたなら、構ってもらえる相手たくさんいるじゃない」
ユキはそのルックスと人懐っこさですぐにクラスの人気者となった。



「ユキー、あたし達と遊ぼうよう♪」

現に今だって女の子がユキを呼んでる。


「んー、あかりたちは今度みんなで遊ぼうな!」
「もーっユキっていつもそればっか!ほんとに遊んでよー?」
「遊ぶ遊ぶ。また今度な!」


ユキが女の子をあしらい、またこっちに戻ってくる。


「な、ハル、あそぼ」
「いや何で私なの…あの子たちと遊べばよかったじゃない」


何故かユキは私ばかりにすりよってくる。

「俺はね」


いつも笑顔のユキが急に真顔になる。


ドキッ


少し、胸が高鳴るのがわかった。


「ハルを元気にするために、ハルの前に現れたんだよ」


そう言って、ユキは私の手を取る。


「どうゆう、こと…?」


私がそう言うと、ユキは笑顔に戻った。

「なんてね♪さ、一緒帰ろっか」
「…?」


ユキはそう言ったけど、私はなんだか腑に落ちない気分だった。


そして、ユキが転入してきたあの日から何故か毎日一緒に帰るはめになっている。


と言うより、ユキがついてくる。
何度も来なくていいと言ってもユキは
「ここ人通り少ないし、女の子が一人で帰るのは危ないよ」


と言って1人で帰してくれない。


「ユキはなんで私を構うの?」

いつものように一緒に帰っている時、ポツリと私は言った。


こんな無愛想で、私から話すことなんてなくて、つまらないはずなのに。


「ハルが心配だから」
「何で心配するの?まだ出会ったばかりで、心配されるような仲でもないはずなんだけど」
「ハルが好きだから、って言ったら信じる?」


一瞬だけ、時が止まったようだった。


好きって…。


「まだ言う気なかったのにー。恥ずかしーっ」
そう言うものの、ユキの顔は少しも赤くなってなくて。

むしろ…。

「あれ…?」

「ハル、顔赤いよ?」


私のほうが赤かった。
ユキが好きだから、とか言う問題ではない。
ただ、そんなことは今まで言われたことなかったから。


「熱でもあるー?」
ユキがおでこを私のおでこにぶつけた。
「…ッ!!」
さらに上昇してく頬の温度。


「…かわいー、ハル」
からかったようにユキが笑う。


こいつ…!
「あっ、ハル待ってよー!」
「待たない!」



ユキといると調子が狂う。


…嫌なのよ。


仲良くなんて、なりたくない。
いつかは失うんだから。
雪の日に…。


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