ma cherie *マシェリ*
「えっ。な、何言って……」


目をまん丸にして驚いている彼女の腰を抱いて引き寄せた。


キスをしようと顔を近づける。

サキは限界まで体を仰け反らせた。


「ま……マヒロさん。ダメですって。こんなとこで……ダメですううう!」


「ふーん。じゃ、どこならいいの? 今からラブホ行く?」


ボンッて火がついたみたいに、さらに顔が真っ赤になる。

そんな様子がおかしくてしょうがない。


別に本気で今ここでヤリたいわけじゃないんだけど。(当たり前だ)


だけどちょっと責任持てないな。


彼女の桜色の唇に視線を落とした。

ここに触れたら、もう制御不能になりそう……。



なんてね。



オレはゆっくりと顔を近づけて、その柔らかな唇にそっと触れるだけのキスをした。


今はまだこんな感じでいい。


ゆっくりでいいんだ。


お楽しみは……これからだから。

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