ma cherie *マシェリ*
今日はバレンタイン。

仕事を終えて一緒に帰っている時、マヒロさんはこのチョコを誰かにあげたって言ってた。


つまり本気で好きな人ができて……その人に渡したって意味……だよね。

少なくともあの時、マヒロさんの話を聞きながらあたしはそう解釈していた。


なのに、そのチョコはなぜかあたしのコートのフードの中に入っていた。


「これって……つまり」


悶々と考え事をしていたら、いつの間にかマヒロさんの住む町の駅についていた。

マシェリに徒歩で通えるマヒロさんと違い、あたしは駅3つ分離れた町に住んでいるのだ。



ホームに降り立つと、先ほどまで降っていた雪はもう止んでいた。

吐く息が深い紺色の闇に白く彷徨う。


あたしはまた走り出した。


マヒロさんのもとへ……。


彼の本心を確かめたくて……。
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