天使の贈り物 




Dear:奏介



美空さんの字で
そう綴られた小さなCD。



そしてゆっくり、そのCDと共に
手渡された紙を広げる。




「コード進行か?
 
 後は……歌詞?

 彩巴ちゃん、どうしたの?」



その髪に手を伸ばしながら、
翔琉さんがまっすぐに私を見る。



「美空さんの
 最期のメッセージって言うのかな。 

 春の奏介さんの誕生日に向けて
 作ってたみたい。

 歌も入ってない。

 まだ未完成のこの歌を
 完成させて、そーすけさんに届けたいの。

 美空さんみたいに、
 うまく歌えないと思う。

 だけど……美空さんと私の想いを
 そーすけさんに届けたいから」





そう言うと、
顔を下に向けて
緊張しながら反応を見守る。




無謀なことかも知れないけど……
こんなことしか、
思いつかなかったから……。





……お願いします……。


そーすけさんを
  助けてください。







「面白そうじゃん」



一番最初に、
認めとくれたのは煌太さん。



「わかりました」


翔琉さんが続き、
最後に紡いだのは悠生さん。


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