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心の鍵

リオンだけは、帝都ベランドゥーダに於ける武器屋に行き、自分に合う剣を探す。今までの剣は連戦に耐えられず、刃がボロボロだ。

連戦等に耐久を持つように造られていないために、そうなってしまったといえよう。他にも、ここの魔物といった異種の存在の堅度が高いというのもある。



だが…、そこに飾られた剣には気に入るものがない。美しく…、かっこよく飾りすぎているからだ。耐久に切れ味は良さそうだが、逆にその剣は戦いに向いているとはいえない。



「やはり…、飾り気をもたないとかな」

と、出口で輝かしき色に光る紅い剣が自分の手を導いた。握ってみると前の剣同様、自分のために造られた感じの持ち味。切っ先はスラッとシンプル。紅いその刃には薄く透明に、向こうを透かす。


「おやおや珍しいものを手に取ったね。誰も手を付けないというのに」


武器屋の主人、女性ではあったがそれは戦いを知っている顔で、武器について事細かに説明をする。どうやら、ハンターで力を持つ武器と防具をこの大陸で探し回っていたらしい。


「それは【緋焔】と云ってね。結構手に入れるのは大変だったんだ。

火の神の配属、サラマンダーの力を宿す紅い剣。火力を扱う人間には欲しい代物だろうが…、皆飾られた剣に眼をやるものでね。

あんたはグレイスかい?」

「いや…、今回試験を受ける。

そのために剣が必要でね」


持っている剣を見せると、それは酷そうに眼をやる。何せこの大陸で造られたものでも、ここまでは傷つかないからだ。


「仕方ないね、後払いでいいよ。グレイスになって稼げるようになったら払いにきな」

「ありがとう、必ず払いに来ます」


緋焔を腰にさすと、武器屋を後に宿屋で就眠を…、夜を過ごした。

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