悪魔ニ花束ヲ
灰原が次の言葉を吐く事は無く、固まる女子達を無視してあたしの手を引いた。熱を持つその部分だけが、意志を持ったかのようにドクドクする。

「花。行くよ」



名前も、知ってましたか。なんて、いきなりこのタイミングで呼び捨て。


「は…、灰、原さんっ!!」


灰原千景の動きに、やっと反応した彼女は灰原の腕を掴む。



「…もう勘弁してくれる?俺はこの空気女と二人で花見にきてる。勘違いは君らだよ。分かるよね?そろそろ視界から消えてね」



凍てつく言葉の割に表情はどこか機嫌がよくて、そのカオが、なんていうか、罰当たりに、綺麗過ぎて、それでいて優しくて、色んな要素が調和したようで


「は、…はい」



彼女達が嘘みたいに素直に返事するのは仕方ないんじゃないか。

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