エンドロールを永遠に
『大地おっはよー!』
「おはようさん」
『ゆうくんも!』
「なんで先に俺に挨拶しねぇんだ、バカ」
「そんなん、俺と絵莉花の秘密やんなぁ?」
『なー!』
「ったく。朝から気味悪ぃな」
大地と笑っていると、ゆうくんは苦笑いしていたけど、それ以上に呆れていた。
そう、私の体に異常はなかった。
だからこうして笑っているわけで、とにかく良かった。
『ねぇ、次って移動じゃない?』
「せや、行こうか。」
『ゆうくん、早く!』
「わかってる。」
幸せな学校生活。
大切な友達。
愛する貴方。
私は本当に幸せだった。
*********
『こ、こんにちは!大地君の友人の、』
「大地から聞いとるで。絵莉花ちゃん?あの黒崎君と付き合うとるなんて、えらい玉の輿やんなぁ」
『は、はい!……って大地何言ったのよ!?』
「あははっ、おもろい子やねぇ」
私は日曜日に大地の家、と言うより大病院に行った。
ここ最近の悩みを解消するため。
大地のお父さんは日向医院の医院長さんで、優秀なお医者さん。
笑うと、どことなく大地に似ていると思った。
「ほな、診察始めよか?絵莉花ちゃん」
『はいっ!』
今まで大きな病気をした事が無かった私は、戸惑いを隠せなかったけれど、大地と大地のお父さんのお陰でなんとか乗り越えられる気がした。
「うーん、どこも悪いようなとこは無いけどなぁ」
『そうですか……』
一通り検査を済ませ、診察室に戻った。
大地のお父さんが眉の根を寄せて、レントゲン写真とカルテを見比べていた。
「……恋煩いとちゃう?黒崎君、モテるやろ」
『なっ……、確かにモテますけど、違う、と、思います』
徐々に声が消えるように小さくなってしまった私を、大地は腹を抱えて笑っていた。
「なーん、ええやんか絵莉花。異常ナシやで?」
涙を拭き、ひーひー言いながら大地が私の頭を撫でた。
『そうだけど……、うん、そうだよね!』
「じゃ、早いうちに帰り?侑士、送らなあかんで」
私は大地のお父さんに一礼し、診察室を出た。
『ふぅ、疲れた』
「そらな」
『あんなに検査するなんてありえへんわっ!』
「なっ、エセ関西弁使うな、アホ!!」
関西弁は浪漫や!何て言いながら大地が笑った。それにつられて私も笑顔がこぼれた。
本当に良かった。
きっと色んな悩み事とかが重なっただけなんだ。
私はこの日から、また普通の日常に戻る事が出来るんだと信じてた。

