強引男子のイジワルで甘い独占欲
「ああ、私、今まで手繋いで歩くとかあまりなかったから新鮮だっただけ。
なんかちょっと違うかもしれないけど……甘えるとかってこんな感じなのかなって思って」
そうか、こういうのを甘えるって言うのかーと思って笑顔で見上げると、しかめっ面で撃退される。
「違うだろ。これのどこが甘えてんだよ」
「だってなんか眞木に包まれてるみたいで安心するし。
今までって、私がこんな性格だからか頼ったりすることってなかったの。電気配線とかも自分でやってたり、重たい物でも持たせるの嫌だったり」
「まぁ、らしいけど」
「弱音吐くのも嫌だったし、弱い部分を見られるのも嫌だった」
慎司にも、その前の彼氏たちにも。
「けど、眞木にはもう全部見られちゃってるからそういう部分で意地張らないですむでしょ?
だから何でも受け入れてもらえてるみたいで安心する。
そういうの、甘えてるっていうんじゃないの?」
ふざけて聞いたわけじゃないのに。
今度は眞木は否定もしないで顔をそむけてしまった。
だけど、それを覗き込んで赤くなった耳を発見して、私が言った事ってそんなに恥ずかしい事だったのかと驚いた。
だって、どう考えたって眞木の方がもっとすごい事言ってるのに。
それは平気で言うくせになんで、安心するって言われただけで赤くなって照れてるの?
わけが分からなくて、眞木の赤い耳がおもしろくて思わず笑ってしまう。
鋭い眼力にすぐにロックオンされたけれど、今回は全然怖くなかった。
理由は分からないけど多分、まだ眞木の顔がほんのり赤かったからと、あとは繋いでいる手が温かかったからかもしれない。