写メキッス
タイトル未編集
~写メキッス~



女に比べて男は鈍い!と思う。

特に、女心というやつに関して鈍い。あえて言葉にするまで、ぜんぜん気づかない人が多すぎる。


「ねぇ、今話してて大丈夫?」
わたしは、彼にきいてみた。

「うん」
彼は、短くそれだけ答えてくれた。


「ねぇ、どうしてわたしがあなたに電話してるのかわかる?」


「うん」

「へぇ、わかるんだ。じゃぁ、どうしてか云ってみて?」


「うん、何か用事があるから?」


「・・・そう。わかってたんだね」
わたしは、ぜんぜんわかってないね!と声に出さずに云った。


「いくら鈍感な僕だって、そのくらいはね・・・」
彼は、わかったふうな口調で言った。



彼は、わたしのことを女友達だと思ってる、多分・・・



それに引き換え、わたしは彼のことを男友達だとは思っていない。恋人候補のNo1だと思っている。もう、数年前から・・・



彼には最近まで、彼女がいた。その彼女は、わたしの友達だった。でも、もうその子とは別れて3ヶ月が過ぎたし、新しい彼氏もいる。



ここひと月の間に、彼とは3度も一緒に夕食を食べたし、3日に一度くらいのペースで電話をしている。今日も、しっかり彼に電話をかけている。



「ねぇ、わたしって魅力ないかなぁ?」
ちょっと遠回しに、ジャブを入れてみる。



「そんなことないと思うよ。君は優しいし可愛いし・・・彼氏がいないのが不思議だよ・・・」
わたしって、彼の好みから絶対的に外れていいるのかしら?彼の言い草を聞いているとそう思えて仕方がない。


いっその事、正面からストレートを2、3発打って、カスリもしなかったら、潔く諦めたほうがいいのかもしれない。わかっているのに、出来ない自分が少々じれったい。


「彼女、そういえば新しい彼氏出来たって教えてあげたよね?」
性懲りもせずに、またジャブを放つわたし。


「うん、聞いた聞いた。良かったよなぁ。僕もほんと、安心してるんだ・・・」
それは、彼の強がりとかじゃなく本音だと思う。



「じゃぁ、そろそろ彼女作ったらいいのに?」
またしてもジャブ・・・



「僕のことより、君はどうなの?誰か狙ってる奴が居るんじゃないの?」
彼は、笑ってる。



「実は、そうなのよぉ~バレてた?」
わたしも、笑ってごまかした。



「もう、眠いから、切るわ」
わたしは半ば強引に、電話を切った。



眠いとか云って、電話を切ったくせに、ぜんぜん眠れなく・・・彼への想いを募らせてしまうわたしは、何を思ったのか、唇をすぼめてキスの形をして、正面から写メで撮り、添付してメールしてしまった。



「わたしの気持ち・・・添付!(笑)」



その後、3日間返信も、電話もなかった。終わったな・・・わたしはやっぱり落ち込んだけど、ストレートを打った自分をほめた。



4日目に彼からメールが着た。


「明日、夕飯どう?良かったらこの前一緒に行ったあの店で7時」
添付のキス画像については、なにも触れていない。優しい彼の心遣いだろう。直接会って、彼の気持ちを話してくれるに違いない・・・


「うん、OK大丈夫!7時、あの店ね」
わたしも、ただそれだけ返信した。


翌日、その店の扉の前で彼は待っていた。



「添付の返信・・・」
そう云いながらいきなり、彼に背中を引き寄せられた。



唇にキスされた!



しかも、10秒くらいの長いキスだった。



わたしは柄にもなく、目がウルウルしたけど、コンタクトのせいにした。



「びっくりするじゃない・・・もう~」
潤んだ目で、笑って彼に抱きついた。

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