夕焼け模様

丘はいつかのように静かに私達を迎えてくれた。

丘のてっぺんに立っている木の下に座ると、私達はどちらともなく肩を寄せあう。

「…覚えてる?あの日、此処で約束をしたこと…」

あの時よりもずっと大人びた口調で彼は言うと此方の頭を抱く。そのまま唇を奪われ、木の幹に体を預けた。

「……さく…」


微風が吹き、木の枝を揺らす。


…お姫様抱っこで家まで送られたあと、私達は暫く話していた。

「そう言えば、これ咲羅ちゃんに上げようと思ってたんだ」

そう言って彼が差し出したのは小さな包みだった。包みには小柄な水玉とリボンがあしらわれていてなにかとても大切なもののように感じる。

「……開けていい?」

勿論、彼は言うとそっとリボンを解く。綺麗に包装された包みを開けると中から小さな箱が出てきた。

「…実は、もう少ししたら遠くに行くんだ。……だから君にこれを上げる。絶対見付けるって約束だよ」

箱の中には、玩具の指輪と手紙が入っていた。

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