北十字学園探偵部
夏がいよいよやってきた。
セミが鳴きだし、朝から暑い日が続いた。

期末試験も終わった。
たいした点は取れなかったけど、まあこんなもんだろう。
事件が起こり、バックヤードユニオンが暗躍する一方、授業やテストが淡々と、何事もなかったかのように続けられるのは不思議だった。

窓ぎわの席から、前にいる増田を見る。
あれ以来、去勢された犬のように増田はおとなしくなってしまった。
何とか元気付けてやりたい。でも、どうしたらいいのか全然分からない。

ラーメンを食べれば元気になるなら、毎日だっておごってやる。

私は窓の向こうの入道雲を見つめた。
ムクムクとイースト菌のように湧く雲は私の心とどこか似ていた。
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