北十字学園探偵部
一時間目は急遽ホームルームになった。
手荷物検査を行うためだ。

「バッグから荷物を全部出せ。全部だぞ全部。いいか? 先生は君たちを疑ってはいない。形式上のうえやるんだからな」
牧野がいった。

私は学生カバンから弁当、手帳、筆箱を机の上に出した。

牧野は一人ずつ、たんねんに見ていった。

「増田。まだカバンに残ってるじゃないか。そのノートも出せ」

「無理です。出せません」

いつもの増田らしくない。ひょうきんさはなく、あせっていた。

「都合の悪いことでも書いてあるのか?」
「いえ」

牧野はノートを取り上げた。
目を通すと、牧野に返した。

「困ったやつだ」
牧野はいった。

増田の顔は真っ赤だった。
何が書かれていたんだろう。
クラスは無事検査を終えた。
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