まんまと罠に、ハマりまして
「…わたらい、さん?」


後ろから、名前を呼ばれて。


「わたらいさん、だったわよね?」


ちょっと自信なさげな声。
それは女の人で。


「?」


後ろを振り返ると。


「は、い……!」


私を呼んだのは、まさかの人で。


「…こんばんは。こんな所で会うなんてね…」
「っ…」


私は、声が出なかった。
だって、そこに居たのは。


「良かったら。少し話せない?」


課長を下の名前で呼んでいた。


「千暁のこと…」


そう。
"ゆきのさん"
だったから……。










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