×ルームメイトの内緒話×


「シンヤ、タクト、タクミ、リク、ダイチ、ソラ、セイチ、シンヤ、タクト、タクミ……」


「……紺、そこまで必死に覚えなくても大丈夫だから」



ある秋の日。


あたしたちは、電車に乗っていた。


目的は、あたしの実家に行くため。


弟しかいないよ、と言っても、紺は行くと言って聞かなかった。



「ごめんねー、7人もいて大変で。
 あ、次の駅降りるよ」


「大丈夫。羨ましいよ、大家族。
 リク、ダイチ、ソラ……これみんな、自然に関係してるの?」


「んー、多分。
 あたしを産んでから、統一しようと思い立ったんだろうね。
 あたしだけ木だよ」


「でも、いい名前じゃない?
 梓、なんてさ」



……不意打ちで名前で呼ばれると、ドキッとする。

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