×ルームメイトの内緒話×



それなのに。



冷たい言葉を吐いた俺なのに、なんでそんなにやさしく声をかけるの?


言っておくけど……俺をこんなに不器用にさせたのは、君なんだからね。




「……あたし、興絽さんの優しさ、忘れられる自信ありません」



……俺は優しくなんかない。



「……あたしが知る男性で、一番優しいです」



……俺はただ情けないだけなのに。


優しいのは、梓ちゃんなのにー……。




涙が止まりそうにない。


ハンカチを貸したこと、ちょっと後悔。


だけど最後に、これだけ言わせて。





「……梓ちゃん、大好きだったよ」


 



         
         Fin.


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