【完】こいつ、俺のだから。
突然うしろから、ふわりと包まれるあたしの体。
「ダメ」
そんな低く透き通るような声とともに、あたしが差し出そうとした手も、その声の主である人の手によって阻まれる。
「こいつ、俺のだから」
…………え?
「えっ」
目の前の告白してきた男子生徒は、あたしの背後にいる人物を見て目を見開いていた。
誰?
あたしもうしろを振り返る。
そしてすぐに驚愕した。
「佐野……!?」
ななな、なんで!?
「え、まじか。仁菜ちゃんと佐野……付き合ってたのか……」
「えっ!いや、ちが……ぶっ!!」
男子生徒の誤解をすぐに解こうとしたのに、後ろのやつに口を塞がれた。
ぐ、ぐるしい!!