【完】こいつ、俺のだから。



「別に。成り行きで付き合っただけだよ」



ハァッと、あからさまにめんどくさいと言ってるような顔でそう言った。



それが余計に彼女達の癇(かん)に障(さわ)ったらしい。




「そんなはずないじゃない!」


「そうよ!調子に乗りやがって!」



声を荒げた彼女達は、次々にあたしに罵声をあびせる。



幸いなことに、まわりには誰もいない。



目立つなんてもってのほか、


こんなところで女がケンカしてるぞーって注目をあびるのはごめんだ。人がいなくてちょうどよかった。





――『だったら、俺がお前に告白したってことでいいよ』




佐野の言ってた言葉を思い出す。




どうしてあんなことを言ったのか。



今でもホントに、よくわかんない。




「あたしから告白した。佐野は優しいから、たぶんOKしてくれたんだと思う」



胸ぐらを掴んでる目の前の女を睨みながら、冷静さを保ってそう言った。



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