【完】こいつ、俺のだから。
別に隠さなくていいのになぁ、なんて思う。
やっぱ佐野は、砂糖(サトウ)さんの方があってるよ。
ほら、例のアレ。
玄関あけたらサトウのご飯。
最近あのCM見るたび、すっごい笑っちゃうんだよね。
甘党の佐野のおかげかな?
「佐野、ありがとう」
「あ?」
帰り道、満足そうな表情をしてあたしと手をつないで歩いてる佐野に言う。
「ドーナツ、おいしかった」
あと、助けてくれたのも嬉しかった。
それは言えなかったけど。
「お前が気に入ったんなら、また連れてってやるよ」
佐野が笑ってくれたから、それだけでもう十分だった。
「約束だからね」
「おう」
きっとまた明日も、佐野は朝からあたしを迎えに来てくれるんだろう。
そしてまた手をつないで、登校するに違いない。
当たり前になってきてる日常だけど、これは期間限定だ。
〝1ヶ月だけなら〟って思ってたあたしは、
いつの間にか〝たった1ヶ月だけなんだ〟と思ってた。