【完】こいつ、俺のだから。
ある日、体育の授業のあと、着替えてる最中にクラスの男子だけで、可愛いと思う女の話になった。
そのとき流行ってた女の芸能人を言うやつもいれば、自分の好きな女の名前をあげるやつもいた。
その中に、
「俺、中原が可愛いと思う」
もちろんあいつの名前もあがってた。
俺はそこには参加せず、話を聞いてるだけだった。
「佐野はいいよなぁ〜。いろんな女に想われてて」
「は?なにがだよ」
「あっ。でも中原は、佐野以外でも、誰とでも話すよな」
「それ思った!あいつ誰とも仲良いよなぁ!」
あんま関わったことのない俺でも、あいつは人気があることくらい、知っていた。
たぶんその頃から、強く意識し始めたと思う。
ガキながらに、〝俺だけに〟じゃないことが、悔しかったのかもしれない。
俺はいつしか、あいつをからかうようになった。