引き籠もりの双子の姉を救った俺。
着いたら少しフラフラしてから
飯を食べ、午後は映画を観る予定だ。
「混んでるね」
各駅停車の電車が到着する。
今日はクリスマス。
出掛ける人は多いよな。
「気をつけろよ」
混み混み列車に乗り込むと、
ギュウギュウだった。
ホームは寒かったが、
車内は暖かい。いや むさ苦しい。
俺は必死に由紀のスペースを確保する。
これは、太一に教わった(半ば強制)。
こうすれば、イイことがあるとか言ってた。
「ひ、広樹くん」
由紀は頬を染めて、
俺を見上げる。
「っ…ありがとう。
でも、狭くなぁい?」
「ん、俺はだいじょぶ」
太一の言ってることが分かったかも。