引き籠もりの双子の姉を救った俺。






『私だって、好きなのに』


と言ってはならない言葉が口から零れた。



その言葉を私に言わせたこの感情は

嫉妬なのだと思う。



醜い感情を、心底恨む。
そしてそれに負けてしまった私自身も。




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広樹に好きと言ってしまってから
数日後の日曜日。



私は、一年振りになるかもしれない
スウェット以外の服を着ていた。



中学生の時に買った、
ベージュのダッフルコートに、

赤と黒の英国風チェックの、
太もも丈のプリーツスカート。



黒いタイツも履いて、
前に軽く洗ったムートンブーツや、
黒いマフラーを巻いたので

防寒は、大体大丈夫だ。





私は、玄関に立ち、
ショルダーバッグの紐を握る。





緊張で、その手は汗ばむ。





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