引き籠もりの双子の姉を救った俺。




うん、かなりチョコだ。


口の中で甘さが広がる。


カップのゴミを捨てて、
俺はそっと冷蔵庫を閉めた。



「あ」



踵を返して部屋に行こうと思ったら
キッチンを覗き込む美穂が居た。



「ん?え?」



その美穂は、完全に外出用の服を着ていて
マフラーをしている。



「外に出たの?」



ひとりで。


美穂は何故か頬を赤らめ、
控えめにコクリと頷く。



「出れた」



「おお」



やったじゃん、と言うと、
美穂は俺と目線を合わせ、

嬉しそうに笑顔を浮かべた。




「それで、ね」


「うん?」



「えっと、ヤナギダさんの…」



柳田?
由紀がどうかしたのだろうか。



しかし、美穂は眉をひそめて、
それ以上何も言わない。



やっぱなんでもない、
と顔を真っ赤にするのであった。




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