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そしてやってきた、2月14日。


毎年恒例、私は友チョコとしてマカロンを配っていた。

ピンク、ホワイト、オレンジ、ブラウン等々。
カラフルなマカロンを見せると、みんな好みの色を指した。

私はそれを見ながら、やっぱりこの子はピンクか、なんて1人で勝手に思っていたり。


朝から教室に充満していた甘い香り。
その原因である友チョコ、義理チョコ、そして本命チョコは、休み時間や昼休みを使って渡されていった。

私は、私に宛てられたみんなからのチョコを楽しんでいた。
クッキーやブラウニー、トリュフ等の定番のものから、中にはタルトやティラミスなんて凝ったものもある。

休み時間が待ち遠しくて、授業なんて集中していられない。


でも、私の場合は時が経つにつれて、違う意味で集中していられなかった。


昼休みを過ぎたら、もう放課後がすぐ近くに感じられる。

これまでは彼を意識したら駄目だと、なるべく視界に入らないように行動していたが、逆に意識し始めてしまっていた。


何度も何度も、落ち着けと言い聞かし、それでも駄目で……を繰り返した。
途中友人に泣きついたりもした。

でも、どれだけ願っても時間は待ってはくれなかった。

あれだけ遅く、のんびりと感じていた授業はすぐに終わってしまっうように感じた。
あっという間に、もう、帰りのHRを迎えてしまう。



そうして、放課後。

一旦友人とも別れ、掃除場所へと向かった。

掃除場所は、この真冬なのにあいにくの外。
風が冷たく、ただただ寒い。
先日降った雪がまだ残っているので、余計に寒さを実感する。
でも今は、緊張で火照った頬とこの余裕の無い頭を冷やすのに丁度良かったとも思う。
それでも寒いのにはかわりないので、必死に耐えながら掃除を終わらせた。



そして教室に荷物を取りに戻る。
あとは彼が教室に戻ってくるのを待つだけだ。

いろいろ考えることもあるが、どうせ私の少ない語彙力では大したことも言えないだろう。
まず、考えてもその想像通りにはいかないはず。

そう思って、私は下手に考えることを止めた。


言いたいことを、言えばいい。


私の価値観ではただの押し付けだと思っていた告白。
でも、それは告白を知らなかっただけだ。

価値観なんてものは、経験することで変わる。
これまでは勝手に決め付けていただけ。



価値観の統一は無理でも、お互いの立場を理解すれば、価値観の理解も可能なのだ。


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