年上のオトコ
女心
「どんな男性が理想?」

加奈子が聞いてきた。

美咲と夕里子は顔見合わせた。

「理想ってねぇ〜」

加奈子はどうなの?

加奈子は待ってましたとばかりに瞳を輝かせた。

「そうねぇ〜。やっぱり身長は180cm以上は欲しいわね。

あと年収は五百万以上かな。
それにいまどきは料理ができる男でないとねぇ〜。」

美咲と夕里子はそろって大声を出して笑った。

加奈子の純粋な気持ちには同感するが、

それを堂々と私たち同期生の間で断言したのだ。

可笑しくてたまらないのにはわけがある。

なぜなら、わたしたちは三十四歳だからだ。


わたしだってそう心のなかでは期待しているかもしれない。

だけど、もう一人のわたしが、こう囁くのだ。

これだけ待ったのにそんな人は現れない。

だからこれからもと。

美咲は思った。


加奈子はキョトンとしながら首をかしげた。


「加奈子〜っ。それを素で言えるあんたは偉い!!」
「そうかなぁ〜。それ誉めてる!?」






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