貴方を忘れない
私には
彼女の主張が
理解できなかった

彼はそもそも
表面上の愛想はなく
慰められたり
慰めたりするのが
得意ではなかったし
プラスの感情を露にするのを
ただ単に
恥ずかしがっていた。

たぶんそれは
周知の事実で
彼女以外の誰が見ても
解っただろう。

それに加えて
表面上の慰めは
その場凌ぎでしかないと言う
信念を持っていたように思う。

そして私も
表面上の慰めが
言えない質で
いつも
誤解されてきていたので
彼の人間性には共感できた。

言葉の悪さにしても
私的には
とても心地良いモノで
『うるせぇバーカ』
と言う言葉にさえ
優しさがあると感じて居た。

使い方にもよるだろうが
よくよく
彼の言葉を読めば解る。

それは照れ隠しであったり
相手が
自分自身を
卑下しているときに出て来る
最大の
『元気出せや』
と言う気持ちだったり。

全てがそうではなくて
本当に
機嫌が悪いだけの事もあったけれど
でも、それでも私は
彼を認めていた。

素直で
自分にも周りにも平等で
表現力や
個性に秀でていた彼。

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