first love~世界で一番素敵な初恋~
最初に3位決定戦が行われ、それが終わると決勝戦の為にコート整備がされる。
去年は緊張して逃げ出したかったのに、今の私は楽しみで仕方なかった。
コート整備が終わり決勝戦の始まりを知らせるアナウンスが会場内に流れる
決勝戦に出る選手は、それぞれのセンターラインの後ろに用意されたベンチで準備をしていて、西園寺もすぐ隣のベンチで用意をしている
そして、すれぞれの名前が呼ばれ全員がコートの中央に集まる
女子は去年とは代わり映えしない鵬龍学園高校女子テニス部長が相手だった。
決勝戦が始まる前に偉そうな感じの人が挨拶をしていた。
「鵬龍学園に転校してきた人がいるってうちの部員が騒いでたけど、まさかその転校生があなただったとは思わなかったわ。
しかも西園寺様にずっとくっついてるって本当に迷惑な話よね」
この人は西園寺のことが好きなのか、皮肉たらしく私に言ってくる。
こういう人は慣れているから気にはしなかった。
「西園寺のことはどう勘違いされているのかは知らないですが、私の集中力を切らそうとしているのなら無駄ですよ。
それに、私が嫌いなら今から試合が始まるんですからそれで倒せばいいじゃないですか。
お互い、一番得意とする競技なんですから。」