first love~世界で一番素敵な初恋~
「唯那!」
その声で目を覚ました。天井は見慣れなくてぼんやりとしていた視界が元に戻ると目の前には西園寺の顔があった。
私の名前を呼んでいたのは、名前は忘れちゃったけど目の前にいた男の子じゃなく、西園寺だったんだ………
「西園寺…………?」
西園寺は私の顔を確認すると何故か思いっきり抱きしめた。
「よかった…………」
その声は儚くて消えてしまいそうな声だった。
「西園寺…………」
私のことを心配してくれてたの?
「このバカ!何で手首を縛られたままプールに飛び込んだりしたんだ!」
「えっ………」
私は抱きしめるのを止めていきなり怒鳴る西園寺にびっくりした。
「お前は俺にどれだけ心配させれば気が済むんだ!」
プールに飛び込んだ………そうだ、私指輪を探すためにプールに飛び込んだんだ。
西園寺に言われて、何故私がここに居るのかが分かった。
西園寺に心配掛けちゃったんだ………
「ごめんなさい………」
私はとにかく謝った。
「でも、唯那が無事でよかった………」
そう言うと、西園寺はもう一度私をゆっくりと抱き締めた。
「ごめんなさい……」
私は、申し訳ない気持ちでいっぱいで何度も何度も謝った。
「もう、謝るな。
俺は唯那が無事ならそれでいいから。」
どうしてこんなに優しいんだろう。
でも、この優しさは私に向けられたものじゃない。