first love~世界で一番素敵な初恋~


確かに西園寺さんとの練習試合は楽しかった。


本気のラリーであそこまで続いたり、初めて真剣にテニスをしたのは初めてだった。


でも、だからといって女子テニス部があるのに男子テニス部で活動って許されるのだろうか。


「話はこれで終わりだ。早く夕食食くぞ。」


そう言われると、西園寺さんは何故か私の手を引っ張って歩き出す。


「あの、西園寺さん引っ張らないで下さい。
一人でもちゃんと歩けますから。」


「うるせぇ。
唯那は黙って俺に着いてくればいいんだよ。」


この俺様が………


練習試合の時はあんなに紳士的だったのに、裏じゃこれなんだから。


「それと、これからはその西園寺さんっていうのと敬語は禁止だからな。」


「え?」


「同い年なのに敬語はおかしいだろ。」
それに、俺達は婚約者だ。
『西園寺さん』なんて他人行儀だろうが。」


いや、他人行儀と言われても私は西園寺さんと婚約しているつもりはないんですが。


「敬語を止めろ。というのは分かりました。
でも、私はあなたのことを婚約者だと認めていないので西園寺さんでいいんです。」


「つべこべ言わずに呼び捨てで呼べ。
これはお願いじゃなく、命令だ。」


呼び捨てって、仮にも彼は西園寺財閥の後継者なのに。
そんな人を本当に呼び捨てしてもいいの?
なんか、罰が当たりそうなんだけど……


まぁ、本人が呼べって言うなら…………


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