【Vt.短編】私のカレは可愛いのです。
緒方さんとお付き合いを始めて三カ月ほど。
社内恋愛は禁止じゃないけれど、好奇の目を浴びるのも騒がれるのも好ましくないという感覚は一致していて、会社では無関係を装うのが暗黙のままに定着している二人のスタンス。
でも
「知らないんですか、緒方さん。バレンタインディーは女の子が大胆になる日なんですよ?」
オフィスでチョコを催促してきた緒方さんには負けますけど。
……なんて
本格的に拗ねそうなので口にしませんけど。
イイ歳の男が恋人のチョコに一喜一憂するなんて…カワイらしい。
私も焦らした甲斐があったというものだ。
軽く頬を掻いた緒方さんは、徐に一つ咳払いして私に向き直った。
「今日、ウチ来るか?」
…なんですか。そのキメ顔。
思わず噴き出す。
「~~~っ。別に嫌なら―――」
「行かせて頂きますよ。」
フテタ声に被せて、にっこり笑う。