トライアングル
「あっという間だったね…」


直が黙っているから、私が話しかけた。



「……そーだな」


「直、昨日どこ行ったの?

会わなかったね」


「うん…」



歯切れの悪い直に近付いて

肩をバシッと叩いた。



「いてっ!!」


「もう直、そんな顔しないの!」



ずっと下を向いていた直は

ようやく、顔を上げた。



「鈴…怒ってねぇーの?

無理矢理、キスしたのに…」



直が、気にしてると思わなくて

キョトンとした顔をしてしまった…。



「それで、そんな顔してたんだ…。

だって、私が悪いじゃん!」


「え?」


「直の初恋が、誰か知ってたのに…。

それなのに、直と自由行動したり

夜だって会いに行ったし…」


「まぁ…それはそーだけど。

オレも、期待しちゃったし…」


直は、少しにやっとして言った。



「直は、悪くないでしょ?

それに、直がマイペースなのは

昔からでしょ!?」


「お前…言ったなー」



直が、いつものペースになってきて

思わず笑みが、零れた。



「やっと、いつもの直に戻ったね!」


「鈴は、すげーな!

オレの、扱いに慣れてる」


「まーね!」


「調子に乗るな」


「いたっ!」


直に、腰をパンチされて


2人で…笑い合った。



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