続・雨の日は、先生と
先生が作ってくれた夕飯は、たぶん私が作るより上手だった。

ご飯を炊くより早いから、パスタにしたみたいだ。

さっぱりした味付けの、ペペロンチーノ風のパスタ。


ほんとは、食欲なんてなかったけど。

先生が作ってくれたご飯だから、私は一生懸命食べた。

まるで、いつかのクリスマスみたいだと思った。


あの時、先生にさよならを告げられた後で。

先生と二人、たくさんの料理を片付けたんだ。

ただ淡々と、溢れそうな悲しみを片付けるようにして―――



「無理して食べなくていいよ。」


「あ、はい。」



先生は、心配そうな瞳で私を見ていた。

それはそうだろう。

今朝まで幸せいっぱいだったのに、急にこんな顔していたら、誰だって心配する。


だけど先生は、それ以上何も訊かなかった。

訊いても無駄だと思ったのか。

だけど、いつもよりもっと優しく、私に接してくれた。


いつもの意地悪な先生は影をひそめていて。

こういう時、先生はうんと優しい。



「唯、おいで。」



同じ布団の中で、背中からぎゅっと抱きしめて温めてくれる。

私の不安を、溶かそうとするかのように―――


だから、私は安心して眠れたんだ。

先生の腕の中で、いつの間にか夢の中に誘われていった。
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