隣の席はオオカミ君
初めてばかりで

隣の席は。

春。                                       


坂野 亜優(さかの あゆ)、


中学生になりました!
                                   

出身小学校はとても小さく、
一学年に一クラスしかなかったので、

人生初めてのクラス替えです!



緊張するなあ…
             






「亜優ーー!!」



ん?



「あっ、美華ちゃん!!」



とても緊張していた私には、神様に見えた…




「なになに亜優、緊張してんのー?笑
って、私もだけど…」



「へへ、実はねー。笑
クラス同じだといいね!」




幼稚園のころから幼なじみの、

中山 美華(なかやま みか)ちゃん。



可愛くて優しくてスタイル良くて、

おまけに運動神経抜群!


なのに彼氏がいないって不思議…



「絶対モテるだろうなあ、美華ちゃん!」



「何言ってんの亜優!絶対ないよー笑」




美華ちゃんてば、ほんとに控えめなんだら…


そんなところも大好きだけどねっ




「じゃ、クラス発表見に行こっか!」


「うん!!」



なーんて元気な返事なんかしちゃって。

ほんとは不安で仕方ないんだよ…。


目をつぶったまま、私は美華ちゃんに体をあずけ、

クラス発表の紙はもう目の前…
 








「あーーーーーーーーーーー!」



「なになになになに美華ちゃんんんん
怖いよおーーどーだったのーーー?泣」



私は半泣きになりながら、

美華ちゃんに答えを求め続けた…





「亜優…お、クラ…った……」



「何いいいいい泣」





「同じクラスだったああああ!」





「「やったああああ!!!」」




私と美華ちゃんの歓声が廊下中に響き渡る。



みんなこちらを見て苦笑いしているが、関係無しだ。



「よかったよおおおお泣」



「そうだねえ亜優!!」


私達は、満面の笑顔のまま、教室に向かった。







「中山、中山…と。

あ。あったよ!美華ちゃん!

一番右の列の一番前だって!」



「ごめーん、ありがとう!

席、離れちゃったね…」



「うん、そうだね…」




横6列、縦6列の36人クラスで

私は、左から2番目の列の、一番後ろ。


名前順でも何でもないこの席は、

美華ちゃんと離れてしまった…



「じゃ、またね!」


うっ、美華ちゃん、笑顔が爽やか…

どっからその余裕が出てくるの…!?



「う、うん!またねーー!」




うぅー、隣の席は誰なんだろう…



ガタンッ



「黒板見づら…」




…えっ



隣の席は男の子。

目が悪いみたい?






私も目が悪いから分かる!




…話しかけて、みようかな…



「…おい」


「はっはい!?!?」




「ぷっ」



な、なにー!?!?笑われた!?




「な、なんですか!?」


「驚きすぎ。
俺ってそんなに怖い?笑」



「えっ…と」


そりゃ急に話しかけられたら怖いよ!!



「べ、別に…」




心の中とは正反対の言葉が口に出た。



とゆうか、よく見たらこいつ…






…チャラい!




まさか、、




「あの… 

ナンパですか?」



「…。


は?」


帰ってきたのは冷たい返事。


「ごっ、ごめんなさい!

気を悪くするつもりは…っ」


「大アリだろ。

いきなりそんなこと聞くかよ。フツー。」




「ほんとに、ごめんなさい…」


「まあいいけど。

ところであんた、眼鏡なんだな?」


はい?


「は、はあ。

え、と、それがなにか?」


「それさ、貸してくんね?」






「えええええっ

む、無理です!無いとなんにも見えないんです!」


「えー、貸せよ。

俺さ、頭悪いじゃん。

だから見た目だけでも第一印象良くしたいんだよねー」


いやいや、知りませんから!


「あっあの、ご無礼は謝ります、

でも、眼鏡は貸せません…っ」



「ちっ」



ドサッ






その一瞬で、私の視界はさえぎられた。


目を開けると、あの男の子の唇が…



近づいてきた!






「んっ…

ふぅ…っん

んぅ…ん…っ」



息が…できな…



「っ…はぁ…」








「眼鏡…!」

「抵抗していいと思ってんの?」




そう言って、男の子は眼鏡をかけて。


「これ、借りるよー」



悔しいけど、

男の子は、とても眼鏡が似合っていた。



「う、うん、、」

「あ、

俺、大神悠真っての。


よろしくなー眼鏡ちゃん」



「おおかみ、ゆうま…」


オオカミっていう名前が、彼をこんなにさせたんだろうか。



「よ、ろしく、大神君…」

そのとき、



ガラガラガラッ


「…えー、静かに!

これから一年間、みんなの担任をする、堺 新です。」



「きゃ、めっちゃイケメンじゃん!」

「かっこいいー♡」

「彼女とか、いるのかな?」


クラスの女子が、一瞬でざわめき始める。



私も一応女子なのだが、そのような感情は生まれてこない…




…それより。


おおかみ ゆうま。




さよなら、私の幸せ中学校生活。





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