とびっきり、片思い。




中田が行ってしまったあと、早速キャンディーを口に含んだら、甘酸っぱい優しい味がして、顔がほころんだ。




公園の木の葉が風に歌っている。




この世界を包み込む木漏れ日が綺麗すぎて、切なさが増した。




私は何ひとつ不自由なく、幸せなんだ。




こういう日常が、これからもずっと続いて欲しいって願うくらい。




でも、涙が出てくるの。




カナタに今すぐ会えたら、たったひとつ埋まらない穴を塞ぐことが出来るのだろうか。



連絡先を知っていて、ボタンひとつ押して繋がれたならって、想像ばかりが膨らんでいく。



実際の彼が、優しくてよく気がついて…
そんな格好良い王子様なんかじゃなくていいの。



彼の弱さをも知りたいんだ。



お願いです神様、チャンスをください。




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