JUNK LAND【→】

愛したはずの女を手中に納め、衣服を纏わない姿で腕の中に入れた時、決まってしらけた自分がそこにいるのである。

勿論そんな事を思っている等おくびにも出さない彼に、抱かれた女達は皆彼を心から愛し、愛されていると信じ……捨てられて行った。

詩織もまた、そんな女達の中の一人であるはずだった。

しかし吉行にとって、この詩織と付き合い始めた事が自らの人生の軸を僅かにずらす結果になる。

腕の中で眠る詩織が目を覚まし、また愛欲の波に揺られながら喘ぐ姿を下から見上げながら、更に性欲を解放する吉行。

彼に今はまだ、その“ずれ”は感じ取る事等不可能であった。


< 129 / 513 >

この作品をシェア

pagetop